my note

つぶやき                               2009年11月



 30歳から49歳までの約20年間、発表活動から遠ざかっていました。
もちろん毎日のように絵を描いておりましたが、発表をする時間的な余裕が有りませんでした。
子供を育て、地域の人たちや子供達に絵を教え、地域活動をし、子供連れで、また一人で、いろんな国を歩き、語学に親しみ、絵画界とは全く違った世界で暮らしてきました。

この経験が、今の私の、一日中絵を描く生活の基盤になっていると、つくづく感じます。

 

 誰に対して絵を描くか、ということは、私の大きな関心事です。
絵を仕事にしている人達だけに向かって描いているのではありません。
「自分の感じた事、考えている事を、人に伝える」という、絵を描くことの本来の意味ではと思われる事を、ストレートにやってみたいとも思っています。

 

 ただ、ものごとを、よりシンプルにして伝えると言うことを目的にするというのでは、私の経験が生きない気がしています。
不思議な事に子供達は直観力で、大人が考えるよりもずっと複雑なことを理解します。
子供の質問に答える時、「子供には分からないから」と、変に簡単にしようとすると、そのごまかしを子供達は許しません。
誰に対しても、(普段全く絵を描いたり見たりしない人たちに対しても)真摯に伝えようとするべきと考えています。

 

 「複雑なことを、自分の解釈で組みなおし、複雑であっても、分かりやすく伝える」というようなことを目指しています。

 

 11年前に再開した時、「母の視点」から描く、というところから始めてみようと思いました。
母を描くのではなく、母の視点から描く、ということです。
「母」と言う言葉で言われる時、それは、外側から言われているように感じたからです。
現実の題材としては、「自然」「大地」「刻(とき)」などから始まって、「宇宙観」を経て、この1~2年は、「人間関係」に行き着いています。
そういうことを母の視点、女性の視点で描いてみたいと思っています。

 

 たくさんのシリーズ(ドローイングを含め、100枚を超えるようなものをシリーズと呼んでいます。)を描いていますが、シリーズとしては
   「空景(99‘~01’)」 「光の景(00‘~03’)」 「風の景(02‘~05’)」
   「大地の衣(05‘~07’)」 「刻(とき)の大地(06‘~)」 「飛ぶ大地(08‘~09’)」

等々のシリーズを経て、
   「The dolls(08‘)」「笑う女(08‘~)」「考える女(08‘~)」
   「優しい関係(09’~)」「旅立ち(09‘~)」「群れる事の意味(09’~)」

シリーズなどです。

 

 ドローイング(紙に描いたものを全てドローイングと言っています)は、大小合わせて年に300枚ほど描きます。このドローイングが、私の頭を整理する道具とも言えると思いますが、5年ほど前から、そのドローイングも発表するようになりました。
ドローイングで整理されたものから、油彩、アクリル画、コラージュなどの作品が生まれます。最近は、ミクスト・メディアでの作品も多くなりました。

 

 「描きたいもの」「伝えたいこと」を表現するには、どのような題材を、どのような手法で描いたらより伝わりやすいだろうか、というところから手段を選んでいます。
ですから、手段、方法は、その都度変わります。効率は悪いかと思いますが、私の素直な気持ちです。

 

 何処まで行けるのか分かりませんが、出来る限り、描くことにこだわり、描き続けて行こうと思っています。